HOW IT WORKS
4つの部品で、
光を使える電気にする。
システムの中心は、ソーラーパネル、チャージコントローラー、バッテリー、DC-ACインバーターの4つです。パネルが太陽光を直流電力に変え、コントローラーが充電を管理し、バッテリーに蓄えます。必要なときにはインバーターを通して、家庭用電化製品が使える交流に変換します。
チャージコントローラーは、バッテリーの過充電を防ぐ重要な部品です。機種によっては過放電を防ぐ負荷遮断機能や、USB・DC出力も備えています。

SELECTING PARTS
最小限の予算で、
40W以内を目標に。
最初から大きな設備を目指さず、負荷を40W以内に設定しました。選んだのは25Wパネル、PWM方式のチャージコントローラー、車から交換した12V・38Ahの鉛バッテリー、300Wの正弦波インバーターです。
PWM方式は安価で小規模な実験に向きます。一方、MPPT方式は高価ですが、パネルから取り出せる電力をより効率よく利用できます。今回の目的は原理を理解することだったため、まずPWMから始めました。
| 公称最大出力 | 25W |
|---|---|
| 最大出力動作電圧(VMP) | 18.0V |
| 開放電圧(VOC) | 22.41V |
| 最大出力動作電流 | 1.4A |
| 短絡電流 | 1.54A |
| 公称最大変換効率 | 23% |
18.0V × 1.4A = 25.2W。仕様上は25Wですが、この数字は実際の設置環境でも得られるのでしょうか。
容量はAhよりWhで見る
バッテリー同士を比べるとき、Ahだけでは蓄えられるエネルギー量が分かりません。電圧を掛けたWhで見ると、モバイルバッテリーと自転車用バッテリーの違いが直感的になります。
| バッテリー | 表示容量・電圧 | 公称エネルギー量 |
|---|---|---|
| モバイルバッテリー | 5,000mAh・3.7V | 約18.5Wh |
| 電動アシスト自転車 | 8Ah・25.2V | 約202Wh |
| 小型自動車用 | 55Ah・12V | 約660Wh |
| Toyota Prius(2017年型・PHV) | — | 8.8kWh |
| Tesla Model 3 | — | 約50〜75kWh |
※ Wh = V × Ah。実際に取り出せる量は、放電条件、バッテリーの劣化、インバーターの変換損失などにより公称値を下回ります。
BUILD & BREAK
発電には成功。
その2か月後、停止した。
部品が届いてから説明書に沿って接続すると、システムはすぐに発電を始めました。バッテリーを満充電にし、インバーターで電気スタンドを点灯。光が別の光に変わった瞬間でした。
ところが2か月後、パネルに付属していたチャージコントローラーが故障し、システムは数週間停止しました。原因がコントローラー基板にあることを確認し、新しい製品へ交換しました。最初の予算だけでなく、交換しやすさや部品の信頼性もシステムの一部だと学びました。
MEASURE THE SUN
25Wのパネルから、
実際に得られた電力。
公称値と実測値は同じではありませんでした。良好な日照条件で最大電流は1.23A。バッテリー充電時に観測した電力は約16.2Wで、公称25Wの約65%です。パネルの角度や温度よりも、曇りと部分的な影が大きく影響しました。
最大実測電流
良好な日照条件で観測。バッテリー充電時は13.2V × 1.23A、約16.2Wだった。
角度・高温の影響
パネルが太陽に正対しない場合や表面温度が上がった場合、電流は約1.1Aまで低下した。
曇天時
直射光がないと発電量は大きく減少。小さなシステムほど天候の影響が目立つ。
部分的な影
木や電線の影でも電流は大幅に低下した。設置場所の重要性がよく分かった。
小さな影でも、数字は大きく変わる。発電能力はパネルの仕様だけでは決まらず、置き方と周囲の環境によってつくられる。
VALUE BEYOND PAYBACK
採算は合わない。
それでも価値はある。
このシステムでは、電動アシスト自転車のバッテリーを月4〜6回充電できました。1回を約0.2kWh、電気料金を当時の仮定で1kWhあたり0.2ドルとすると、節約額は月約0.2ドル。170ドルを回収するには約71年かかる計算です。
経済性だけを見れば、成功とは言いにくい結果です。しかし、USB常夜灯、ハロウィーンのランタン、クリスマスライト、自転車の充電など、日常的に電気を使う固定設備として考えると別の価値が見えてきます。
防災用品も、災害時だけを待つのではなく、普段から使えてこそ状態を確認できます。持ち運べることよりも、決まった場所で毎日働き続けること。この小さな実験から、実用的な蓄電システムの条件が少し見えてきました。