FIELD NOTE 03 · OFFICE AUTOMATION
Office Automationの実際
高価なRPAを導入できなくても、目の前の反復作業は自分たちで変えられた。
記録:2021年の実践01
新しいシステムを入れれば、仕事は楽になると思っていた
勤務していた工場では、毎日100件を超える新規注文を受けていました。生産管理課は、それらをまとめ、材料を手配し、生産順序と出荷日を決めなければなりません。旧システムができるのは、ほぼ注文の一覧化だけ。計画の多くは手作業で、生産管理の3人は毎朝5時前に出勤し、7時までに会議資料を整えていました。
この負担を減らし、計画精度を高め、管理の知識を会社に蓄積するため、2020年から新しい生産管理システムの導入を進めました。半年以上の調整を経て、2021年2月末に運用を開始。費やした時間は約1年、投資額は1,000万円を超え、管理部門と経営陣も大きな労力を注ぎました。期待は当然、大きなものでした。
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稼働して見えた、システムと現場の距離
新システムでは、案件を工程の細部まで登録でき、データベースも以前より安定しました。しかし、一か月使うと別の問題が見えてきました。現場端末では画面の拡大や細部への移動がしにくく、メモも残せません。資材管理は枠組みだけで、実際の運用方法は未完成でした。大きなスクリーンを設置しても、何を表示すれば全体進捗が分かるのか決まっていませんでした。
最も深刻だったのは、ラインリーダーが使い慣れた紙の管理表を失ったことです。個別工程の画面は見えても、全体を素早く把握できない。生産管理への問い合わせが増え、便利になるはずのシステムが、かえって双方の仕事を増やしました。印刷レイアウトの追加を依頼すると、数か月と100万円以上が必要だと言われました。
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RPAの実演は、まさに必要としていたものだった
ちょうどその頃、RPA会社の説明会に参加しました。PC上の操作を記録し、Webやメール、Excelで繰り返す作業を自動化する。デモではYahoo!ファイナンスから株価を取得し、4,000件のデータをExcelへ貼り付けていました。人が休む時間にも動き続け、単純作業を正確に処理する。その考え方は魅力的でした。
品質管理ならクレーム情報の整理や報告書作成、生産管理なら毎朝4〜5時間かかる資料準備に使える。ただし、導入には数百万円、数か月、複数人の参加が必要でした。早朝の指定時刻に自動実行する機能を付けると、さらに価格が上がります。小規模な会社にとって、効果が分かっていても簡単に踏み出せる条件ではありませんでした。
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まず、現場が必要とする紙を取り戻す
予算を待っていても、目の前の混乱はなくなりません。そこで、生産管理システムを開き、データをコピーし、Excelに貼り付け、印刷レイアウトを整えて配る作業を、まず手で始めました。紙の管理表が戻ると、ラインリーダーは全体を把握できるようになり、端末操作にも少しずつ慣れていきました。表面上は、システム移行がようやく落ち着いたように見えました。
しかし、その裏側では生産管理の負担が残りました。工程は約10、一工程に十数ページ。毎朝100回を超えるコピー&ペーストが必要で、重複や貼り間違いも起こりやすい。しかも当時、生産管理課に残っていたのは私一人でした。朝5時出勤という現実は、何も変わっていませんでした。
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無料でできる方法を、Excel VBAでつくる
RPAのデモで見たことを、今まさに必要としていました。無料のRPAもいくつか試しましたが、実務には使えません。そこで、Excel VBAで自分の道具を作ることにしました。インターネットで調べながら、Webサイトを開き、ログインし、最初の工程の1ページ目からデータを取得してExcelへ貼り付ける。最初の一連の動作は、驚くことに2〜3時間で形になりました。
翌日は総ページ数を取得し、繰り返し処理で一工程の全ページを約1分でダウンロードできるようにしました。さらに工程そのものも繰り返すように変更。約1週間で、毎朝100回以上行っていたコピー作業を機械に任せられるようになりました。人が2時間以上かけていた処理は、約10分になりました。
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自動化したのは、コピーだけではなかった
その後の数週間は、ラインリーダーと相談しながら細部を直しました。印刷レイアウトを調整し、重要案件の順番を変え、色を付ける。単に旧来の紙を復元するのではなく、現場が必要な情報を以前より見やすくしました。紙の管理表は、新システムの弱点を補う強力な道具へ変わりました。
生産管理課が一人という状況は変わりません。それでも朝5時に出勤する必要はなくなり、6時半の出勤が可能になりました。さらに印刷をスケジューラで朝7時に実行するように設定。前日にプリンターへ用紙を補充しておけば、会社に着く頃に資料が自動で印刷されます。
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大きなシステムと、小さな自動化の間にあるもの
この経験で分かったのは、高価なシステムを導入することと、現場の仕事が本当に楽になることは同じではない、ということです。新システムには、安定したデータベースという価値がありました。一方で、蓄積されたデータを現場が使える形に変える、小さな仕組みが欠けていました。
RPA会社の説明は、自動化の考え方を教えてくれました。しかし、実際に目の前の問題を解決したのは、現場を観察し、必要な出力を決め、手作業を一段ずつコードへ置き換える作業でした。費用はほぼゼロ。それでも、毎朝2時間以上かかっていた作業を約10分に短縮し、朝5時出勤をなくすことができました。
ただし、これで新システムの問題がすべて解決したわけではありません。使いにくい画面レイアウト、未実装のメモ機能、各工程の一覧を見ても全体進捗を把握できないことなど、改善すべき課題は残りました。本来は新しい画面や機能を開発する必要がありましたが、予算と人員の制約から、組織としてさらに一歩進むことはできませんでした。最終的には妥協案として、各工程の画面にダウンロードボタンを追加し、一覧をExcelへ出力できるようにしました。
小規模な会社が新しい技術を導入するとき、資金や人員だけでなく、技術とその効果への理解不足、従来のやり方を手放しにくい組織の意識など、多くの制約があります。これらは、「知りたい」という衝動を行動へ移し、結果につなげるまでの大きな障害になります。Office Automationは、大規模な導入計画だけを指す言葉ではありません。今日繰り返した作業を、明日は機械に任せられないかと考えるところから始まります。